生体にとって不可欠である必須アミノ酸のフェニルアラニンには、至適な濃度があります。そのフェニルアラニン濃度が高くなるのが高フェニルアラニン血症であり、その原因は大きく2つあります。
フェニルアラニンが身体の中で代謝されるためには、フェニルアラニン水酸化酵素と呼ばれる酵素とその働きを補う物質であるテトラヒドロビオプテリン(以下BH4)という補酵素の2つが必要で、どちらが無くてもフェニルアラニンは代謝されません。 従って、高フェニルアラニン血症は酵素の働きが低下している場合とBH4が無い場合とに大別されます。
フェニルアラニン水酸化酵素の働きが低下している場合
一般的には、軽症の高フェニルアラニン血症、重症の古典的フェニルケトン尿症とに分類されます。 基本的にはどちらもフェニルアラニンを除去した食事制限で治療を行いますが、軽症の場合は特別な治療は行わず、経過観察を行うだけで済むケースもあります。また、高フェニルアラニン血症の一部にBH4を服用することにより、食事制限が緩和できる場合もあり、これをBH4反応性高フェニルアラニン血症と呼んでいます。重症古典型フェニルケトン尿症の場合は、BH4の服用で身体の中のフェニルアラニンが代謝される可能性が少ないため、フェニルアラニンを除去した食事制限で治療を行います。
BH4が無い場合
何らかの原因により身体の中でBH4が生成できないことにより、フェニルアラニンが蓄積する場合は、フェニルアラニンを除去した食事制限をしても、進行性の中枢神経症状を呈するのが特徴です。これをBH4欠損症(異型高フェニルアラニン血症)と呼んでいます。BH4および神経伝達物質の前駆物質を投与することで、早期よりしっかりと治療開始すれば成長・発達は良好です。